学級崩壊の教育現場で「教科担任制を小学校4年生から導入」!? 現場を直視しない文科省の愚策【西岡正樹】
学級崩壊の立て直し任されてきた名物教師が語る
■学級崩壊までに起こる教室内の出来事
この1年生の教室も、当初から、子どもたちが自分勝手な行動を繰り返していたわけではないだろう。教室には不安定な子どもは数名いるが、ある日突然に子どもが激変し、教室の中が興奮状態に陥ったのではないはずだ。私の想像に過ぎないが、まずは、子どもたちの授業からの逃避が始まり、教室の中では暫時次のようなことが起き続け、最終的に子どもたちは集団規律を失い、やりたい放題の状況に至ったのではないだろうか。
〔学級崩壊までに起こる教室内の出来事とその対応〕
1. 子どもの授業からの逃避(授業が分からない、やる気が出ない)→ 授業改善
2. 子どもの教師への反抗(いつも叱られる、自分を見てくれない、不平等感)→ 関係性と平等感を育む
3. 児童間のトラブル多発(満たされない子どもたちは暴力と暴言を繰り返す)→ 仲間意識を育む
4. 反抗児童の集団化(あの子が許されるなら自分も)→ 仲間づくり・特別扱いしない
5. 反抗児童と授業を受けたい児童との対立化(授業妨害する者を排除)→ 認め合う関係づくり
6. 教室内のごみの散乱(周りへの無関心化)→ 心地よい環境づくり
7. 反抗児童とそれに靡く児童の授業妨害(自分に関わってほしい、教師への反抗)→ 誰一人とり残さない教師の意識を強化
8. 反抗児童の教室からの逃避(仲間意識の喪失・何やっても許される)→ 関係性の強化、仲間づくり
9. 教室の無気力化(学びの喪失)→ 授業改善・関係づくり・仲間づくり
10. 教室内の無関心化(他者からの攻撃から自分を守るために無関心〈見ざる・言わざる・聞かざる〉を貫く)→ 一緒に遊べる環境づくり
上記の10の項目は、私自身の体験や周りで崩れていく教室から、私自身が捉えた教室内に起こる現象なのだが、これらの現象は上記のように上から順序よく現われるのではない。多くの崩壊した学級の中では、これらが順不同に複合的に現われる。
私はまた嫌な思いをさせるのではないかと思い躊躇(ためら)ったが、過去に学級運営がとても困難な状況に陥り、何度もくじけそうになった経験を持つ太田先生(仮称)にも、上記の一覧表を見てもらった。しばらくじっと10の項目を眺めていた太田先生は、やおら言葉を発した。
「それぞれの場面で目立っていた子どもの顔が浮かんできました」
思い出したくもない苦い味が喉奥から蘇ってきたかのような顔をした太田先生の口から言葉が漏れ出てきた。また話はそれだけに終わらなかった。
「あの時、ここには書いていませんが、授業妨害する子たちとちゃんとやりたい子たちとの間に、子ども同士の対立がありました」
崩れていく教室を目の当たりにした人にしか分からない言葉である。私が捉えることができなかった状況を、太田先生は教えてくれた。